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2012年04月03日の記事は以下のとおりです。

“民主主義”という美辞麗句は大丈夫か?

  • 2012/04/03 11:41

 この4月からの新しい年度の初めから嫌な記事があちらこちらに見られて気分が悪い。そんな記事はいくらもあるがここに示すのは、その一部読売新聞に載った3枚の写真に示される記事のことである。
 1枚目の写真が示すのは、何も決断しない京都府知事とそれを支える400名の反対派の記事(4月1日)である。東日本大震災によって生じた大量のがれき処理が進まないと復旧・復興が進まないとの危機感を抱く政府の先兵としての細野環境相とがれき受け入れを目指している京都府知事が、JR京都駅前でそれへの理解を求めたのに対し、反対派およそ400名が取り囲み、予定していたチラシ配布を中止したというものである。
 京都市に関しては、昨年8月の五山送り火に際して、三陸高田でがれきと化した松を五山送り火に使用するとする決定を二転三転させ、全国から非難を浴びたことを私は忘れてはいない。そのときに動いた反対派と同じかどうかは不明だが、私から見ればそれは放射能に対する過敏な反応だと見える。一体なにを考えているのだろうかと危ぶむと共に、それを突破できない、あるいは決断できない“選挙で選ばれた京都府知事”とは一体なんだろうかと思う。
 2枚目の写真は大阪維新の会のやり方に対する記事である(4月1日)。昨年の大阪府・大阪市の同日選挙の際に、大阪市労働組合連合会が当時の市長であった平松氏の再選を目指して活発に活動していたことは知られていたが、その証拠としてのねつ造文書を受け取り市議会に持ち出した杉村幸太郎市議と維新の会市議団に対して、市労組連合会が謝罪要求をし、場合によっては提訴も検討するというものである。これには尾ひれもついており、杉村市議は、その文書はねつ造文書かもしれないとのメールを受け取っていたにもかかわらず、それをもって激しく労働組合側を攻撃していたのである。
 実は維新の会を代表する橋下大阪市市長は、組合が市庁舎に事務所を構えていることにも反対を表明し、彼らを市庁舎から追い出した。彼らが市庁舎の一部を使用することは、労働組合としての団結権を物理的に保証するものとしての使用であったと私には思われ、これまで広く慣例として行われていると思われる。そのことは、ある程度の大きさの職場を見れば明らかで、それは馴れ合いなどと非難するようなものではない。
 大阪維新の会は“選挙民の負託を受けている”との主張を持って、様々なケースで、たとえば教育現場に対する補助金の削減、給与の全面的な削減などを強行している。確かに削減すべきものは多々あるようでありそれなしには財政再建はあり得ないであろうが、何か一つを口実にして全面的にそれをやる手法は、独裁者の常とう手段である。
 3枚目の写真は、4月3日付読売新聞朝刊の「北摂」欄に載った小さな記事である。それは、今春の卒業式での国歌斉唱時に起立せず再任用を取り消された高槻小学校の元教諭が、府人事委員会に処分の取り消しを求めたことを報道したものである。この記事がなぜ小さいのかは、大きく報道しては具合が悪いと考える者がいることを示している。私には教育現場において思想・信条の自由を保障することがいかに大事であるかは、かって日本が起こした太平洋戦争から学んだつもりである。起立しないなどなにをそんなちっぽけなことをと思うと共に、それをやって誇らしげな顔をしている維新のメンバーの浅はかさを嘆くばかりである。
 1枚目の写真の問題においては、何故に決断ができないのかとその優柔不断を思うが、2枚目3枚目の写真の問題については、選挙で勝てば何をしてもよいと豪語する維新の会の危うさを感じる。国あるいは自治体が困窮した時に表現される“民主主義”は、特に民主国家あるいは民主的であることを標榜すればするほど、それは「弱者切り捨てを伴った資本主義の強化」を意味している。かって司馬遼太郎は、資本主義体制には厳しい倫理観が必要であると述べたが、いまどき民主主義を標榜する場合には、“民主主義=倫理なき資本主義”を意味していると断ぜざるを得ない。弱者切り捨てには、それへのセーフティネットの構築が必須である。それを放っておいて“選挙民からの負託を受けている”や“民主主義は多数決だ”などと豪語することは許されない。我々も用心深く選挙に臨みたいものである。
 なお、Wikipediaで「民主主義」を見ると、かなり詳細にそれの歴史、あるいは様々に異なる民主主義の内容が記述されていて興味深い。“民主主義”は一筋縄ではいかない代物なのである。皆さんに是非その一読をお勧めしたい。

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