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2016年01月の記事は以下のとおりです。

横須賀の軍港を見て 艦載機の爆音で思うこと

  • 2016/01/12 22:50
 私はこちらに引っ越してきて半年の昨年7月に、「軍用機の飛び交う空の下」というタイトルで以下のブログをはじめとして3つのブログを書いた(http://www.unique-runner.com/blog/index.php/view/234 )。そこでは、神奈川県が横須賀港を母港とする原子力空母とそれに積載されている数十機の艦載機や陸軍の座間キャンプを基本とする米軍基地の広さは沖縄県に次いで2番目であることを示し、現在の日本の政策の行方に危惧の念を表してきた。
 私は戦中の生れであるが、記憶の中に軍艦の生のイメージはない。そこで新しく配備された原子力空母ロナルド・レーガンが寄港している時をねらって横須賀港を訪れることにした。幸か不幸か原子力空母が横須賀港に入っているときには艦載機は厚木基地に移動していて、慣熟飛行訓練のため四六時中我が家の上空を爆音を響かせて飛行するため、空母が入港しているかどうかは簡単に判断することができる。
 幸い12月上旬の無風で暖かい日に横須賀を訪れた。自宅から1時間半もあれば余裕で着いてしまうほど、まさに目と鼻の先である。着いて早速軍港を巡るクルーズ船に乗って軍港を回った。年の暮ということがあったのか、案内役の自衛官によればこれほど多くの多彩な艦船が入港しているのは珍しいとのことで、様々な軍艦を見ることができた。横須賀港は米海軍と海上自衛隊が共同で運行している港のため両国の艦船については素人の私が見て、あるいは説明されてもすぐに分からなくなってしまう。一応、2枚の組み写真でお見せする。ただ、多彩な機能を持つイージス艦や巨大な空母、またヘリコプター搭載護衛艦や潜水艦(自衛艦)は別格である。ただ、空母は航路から少し離れたところに入っていてあまり近くで見ることはできなかったが長さ333メートルもある巨大さは特別である。ただ驚いたのは、度々新聞などをにぎわす機雷の掃海艇は表面だけだと思うが木造あるいはプラスチック製であることであった。それは、金属に反応しての機雷の爆発を避けるためだと説明された。
 それにしても横須賀港は、原子力空母から潜水艦まで多分あらゆるタイプの戦艦がひしめいている軍港であり、日本最大の軍港だと思われる。有事の際には敵からの攻撃目標であることはもちろんであり、そうなれば首都圏内にあり、しかも多くの基地を有する神奈川県は最も危険な地域となる。そんなことを避けるためにも政府は国策としてきな臭いことに踏み込むことは極力避けなければならないはずである。
 昨年、憲法九条を改定することなく安倍内閣の解釈変更のみで新たな安保法制を制定し、“戦争法”を作ったと批判されたことは記憶に新しい。一方、東シナ海あるいは日本の近海において竹島や尖閣諸島の領有権問題などで日中韓の間に厳しい空気が数年にわたって流れてきたことは重大である。この空気が少しばかり緩んできた感があった最近、案じていたことが今日1月12日に報道されている。それは、尖閣諸島領海に中国公船が侵入した場合には海上自衛隊がそれに対応するというものである(3枚目の写真)。これまでは海上保安庁の艦船が対応していたが、これは警察行動であり、今回の報道が事実とすれば一線を越えて警備行動ではあれ軍が対応する極めて危険な行動に踏み込むというものである。いま膠着状態にあることをなぜ日本側からレベルを一段上げた対応にしなければならないのだろうか。その裏にはアメリカがいそうである。尖閣国有化も相手の挑発に乗って現状変更してしまったのではなかったか。このような安保法制制定後のエスカレートはその数日前にも報道されていた。それは、中近東で掃海活動に従事してきたP3Cが日本に帰る途中に、中国の南シナ海での滑走路建設とその使用活動をけん制するために、その空域を飛行するとするものである。これらの報道を見て感じることは、当初の予想通り政府及び自衛隊は東シナ海から南シナ海まで軍事行動範囲を拡大することを決意したとみなすしかないであろう。
 これまでの大きな戦争は小さな小競り合いから始まっていることを考えると、上に述べた行動は危険極まりないと思われる。おまけに手詰まり状態の北朝鮮は1月9日の4枚目の読売新聞の写真のように“水爆実験に完全に成功”と発表した。日中韓+北朝鮮の4か国は、まっとうに機能するような危機発生時の連絡網を建設できているようには見えない。それにもかかわらず一触即発になりかねない場面を作りすぎている。
 安倍内閣は新たな安保法制でアメリカと完全な同盟を築こうと焦りすぎている。ロシアとのキプロス問題の失敗をはじめとして、北アフリカの民主化問題、中近東におけるイスラム国の問題などアメリカの対外政策はことごとく難しい対応を迫られている。それはオバマ大統領だからとかの問題ではなさそうである。最近、「資本主義の終焉と歴史の危機」(水野和夫著、集英社新書)を読んでいる。まだ途中だが、アメリカへの過度の依存は自滅の道を歩む可能性がある。それは体制そのものの問題である可能性があるからである。だからどこかに完全に依存するのではなく、日本は近隣4か国をはじめとする世界ともっと独自な外交が求められている。
 昨年末、5枚目の写真のように日韓の間でくすぶっていた慰安婦問題が日韓両政府の間で完全合意したと突然報道された。それが真に完全なる合意であればそれはそれで喜ばしいことなのだと思う。しかし、この合意の実行にはまだ様々な障壁が隠れているように見え、またこの合意の後ろには明らかにアメリカがいて、また一つ大きな借りを作ったのも確かである。近隣4か国やロシア、中近東諸国との独自外交には日本がアメリカから相対的に自由にならない限りほとんど不可能であろう。それは相手が日本を信頼しないからだ。しかし、相互が自由になることがアメリカの利益にもなると相互に理解できれば難題の解決への出口が見えるのかもしれないと思う。いま安倍政権はそれとは全く逆方向を向いているからとんでもなく危ういと感じざるを得ないのである。
 ここしばらく艦載機のすごい騒音は聞こえてこない。原子力空母ロナルド・レーガンは多分日本とアジア大陸との間に出かけて警戒に当たっているのであろう。案外、あの強烈な排気音が私の頭の上で鳴り響いている方が安心なのかもしれないとは、なんという皮肉であろうか。

写真の説明 1枚目の写真:左上は機雷掃海艇とその母艦、右は潜水艦、左下は3隻のイージス艦、右下の2枚は潜水艦救出母艦と潜水艇。 2枚目の写真:左の2枚は原子力空母ロナルド・レーガン、右上は海上自衛隊の最新鋭のヘリコプター搭載護衛艦「いずも」、右下は、近くの公園に永久保存されている記念艦「三笠」、日露戦争で遠来のバルチック艦隊を壊滅に追い込んだことで知られている。

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