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2016年12月06日の記事は以下のとおりです。

問題は「大衆迎合主義」か?

  • 2016/12/06 17:45

 2016年6月のイギリスEU離脱はヨーロッパのみならず世界を驚かせた。またフィリピンでの大統領選挙にも驚いた。さらにその上を行ったのが11月のアメリカ大統領選挙でのクリントン氏敗北、そしてあのトランプ氏勝利であった。さらに昨日にはイタリアで大掛かりな憲法改正を国民投票にかける試みが行われ、レンツィ首相が敗北し、即座に辞任を発表した。ここではポピュリズム(大衆迎合主義)政党「五つ星運動」が勝利した。
 これらと少しだけ趣を異にしたのは、難民政策を争点にしたオーストリア大統領選挙のやり直し決選投票の結果である。リベラル派・緑の党・ファンデアベレン氏が51・7%を獲得し、極右で反難民の自由党・ホーファー氏の48.3%を破って勝利した。しかし僅差であり、近い将来にこの差はなくなると観測されている。
 さて、本日の読売新聞朝刊の社説は、「首相辞任を招いた大衆迎合主義」となっている(写真)。私が今感じていることは、メディアがこのように決めつけることではたして何が解決されてゆくのであろうか、それは技術的なことでしょう、と言いたいのです。私は経済学を専門に勉強したわけではなく、ただこの社会に生きる人間としての感性でここに書いています。上に出てきた「緑の党」もかっては環境保護活動家たちの主張に乗った大衆迎合の党だったのだろうと考えます。でも、それは月日がたち環境破壊が不可逆的に進む現実の前では、社説に書かれるように「リベラル・緑の党」となってゆくのです。それは、あたかも小さな新興宗教が時代の流れの中で大きなまとまりのある宗教に変貌してゆくに似ています。かって「反原発」は、安全ですよ、そんなこと言っていてどうやって電力を供給できるのですか、とポピュリズム扱いされていたのですが、東北大地震とそれに伴う福島原発の破壊の前に、もはや日本の国の地方自治体選挙でも世界的にも大きな反原発の流れが息づいていると思われます。そのあたりの感覚に鋭い小泉元首相は、かっての「郵政民営化」に続いて「反原発」で動いています。
 それはそれとして、最も資本主義的に運営され民主主義を謳歌してきた欧米でこのような現象が発生するのはなぜかと思う。投下した資本以上に利益を上げられる資本主義が飲み込める地域は自国の外にはもはや無くなりつつあり、やむなく自国の中で搾取せざるを得なくなった結果、どの国でも富の局在化が激しく、特に何の蓄積もない若い人たちが貧困になってゆく。もちろん、資本主義を謳歌してきた国以外の国々はますます疲弊し、内紛がおこって難民が溢れることになる。そのように発生した難民に、発展してきたはずの資本主義国の若者が職を奪われることになる。悪循環が始まってしまった。それがヨーロッパやアメリカの現実でしょうか。だから地殻変動が起こっている。日本ではまだ大規模な地殻変動は地政学的な隔たりもあって目には見えていないが、いずれ同じ問題に遭遇することは間違いないであろう。すでに若者の貧困化が顕著になりつつある。
 いま眺めてみて、すでにとうの昔から共産主義国はない。キューバがその片鱗を残しているのみかもしれない。ソビエト連邦は崩壊し、いまの国は資本主義国と変わらない。中国も、あれが共産主義国だと思う人はもういないでしょう。一党独裁だけがその気配を残している。黒猫も白猫(黄色い猫)もネズミを捕るのが良い猫なのである。だとしたら、資本主義は誰かに負けたのではなく、自己崩壊したとしか言えないのです。そのことを私たちが心底自覚することなくして先は見えてはこないのでしょう。経済の成長ではなく富の公平分配を実現するしかないが、どうしてよいやらわからない。だから、私もよくわかっていない。

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