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2018年09月25日の記事は以下のとおりです。

こんなところに渓谷があるかと驚く「等々力渓谷」を訪ねてビックリ・・・

  • 2018/09/25 12:06

 私が住む神奈川と東京の間には多摩川が流れ、その周りには同じ名前の地域があって厄介である。たくさんあるような気がするがいま思いつくのは“野毛”とか“等々力”で、ここで話題にするのは東京都世田谷区にある等々力渓谷である。しかし川崎市にも等々力競技場に表わされる等々力という地名がある。また、この等々力渓谷がある場所は、等々力、中町、野毛という地域にまたがっており、野毛という地名も気になる。この地名は横浜市の焼き鳥屋などがたくさんある地域の名称であるとともに川崎市にもあるのである。そんなことは今回のブログのネタではないが、調べてみると面白そうな話らしい。ちょっとネットを覗いてみると、この地域は蛇行する多摩川のために地域が分断された歴史があるそうで、それによって同じ地名が飛び地のように存在する。一言書いておくと、“野毛”という言葉は古くから“崖”ということを意味しているようで、崖のある地域についた名前だという。

  前置きが長くなったが、書こうと思った等々力渓谷に話をもどそう。二子玉川からわかれる大井町線に溝の口から乗って等々力駅で下車、とても近い。さて、等々力渓谷のパンフレットには簡潔な紹介文があるのでそれを使わせていただく(5枚目の写真の上部分の地図と1枚目の組み写真をご覧ください。ゴルフ橋とは赤い橋のことです)。「等々力渓谷は、武蔵野台地の南端を矢沢川が侵食してできた、延長約1kmの東京23区内唯一の渓谷です。東急大井町線の等々力駅から南に歩いて3分ほどの、矢沢川に架かる「ゴルフ橋」脇の階段を下りると、下流に向かって矢沢川沿いに散策路がある。夏でもひんやりした渓谷内はケヤキ、シラカシ、コナラ、ヤマザクラなどの樹木が鬱蒼と茂り、川のせせらぎや野鳥の声が聞こえ、渓谷のいたる所から水が湧き出て、都会とは思えない自然に触れることができる。」
 全く紹介文の通りでゴルフ橋の脇の階段を下りると別世界である。渓谷全体が木々でおおわれており、静かに流れる川面に木漏れ日が光る光景である。2枚目の組み写真にその雰囲気を感じることができるであろう。ただ、川の水量が少なく小魚が泳ぎまわる様子を見ることができなかった。このことは後で議論したい。
 5枚目の地図では右が北に当たりゴルフ橋から左側の下流に向かって散策を楽しむことになる。この川の右岸(下流に向かって右側)には野毛大塚古墳があり、左岸を崖を上がると等々力渓谷3号横穴(墓)がある。それが3枚目の下の写真にあり、横穴の中が観察できるようになっている。このあたりには古墳時代から奈良時代にかけての横穴式墓が6基発見されており、この3号横穴は1973年に発見されたもので新しい。また、そこからもう少し下った崖の上には平安時代に建立された等々力不動尊がある(3枚目写真の上部分)。そこの下には滝があり、その滝で打たれ行をする人が今でもおられるようである。その滝の轟く音が、「等々力」の地名のいわれという説もあるようであるが、現在の水量ではそれほどの音は残念ながら期待できそうもない。

 上にも書いたように現在この渓谷に流れ込む水量は多くはない。ビックリしたのは、そのためかその川を必死に眺めてみても滅多に魚を見ることはできない。パンフにも魚のことが書いてない。子供たちも魚がいないと話していた。Wikipediaによれば「武蔵野台地は、水を通さない海成の粘土質層の上に水を通しやすい礫層が互層となった関東ローム層に覆われた台地であり、台地上をはじめ多摩川に削られてできた崖線には多くの湧水がある。等々力渓谷はこの大量の湧水が台地を侵食してできた渓谷である(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B0%B7%E6%B2%A2%E5%B7%9D )(1枚目の写真の右下)。しかし、最近は地下水の水位が下がり、湧水量もかなり減少し、降雨時以外にはここを流れる水量は大きく減少していると言う。そのためだろう、1994年より仙川浄化施設から導水しており、水量の減少と水質の改善を目指していると思われる。
 そんなことで水量の減少によるのか私たちの目には魚群を見ることはできない。ただ、世田谷区が毎年行っている魚類調査によるとモツゴ、ドジョウ、スミウキゴリ、トウヨシノボリなど26の個体が観察されてはいる(「等々力渓谷魚類調査」で検索してください)。でも、これは隅から隅まで探しての結果であろうから極端に魚は少ないと言うことだと思われる。平成27年度のデータでは個体数はなんとわずか4でしかない。私も川の流れを見ながら小魚を探していたが、近くにいた子供があそこになにかいると指差していたのでよく見るとそれは何かハゼのようにも見える小魚に見えた。しかし色が白く見えなにかのアルビノのようにも思え数枚写真を撮って持ち帰った(4枚目の写真、後述)。
 その後、川の右岸にある日本庭園にも立ち寄り帰途に就いた。5枚目写真の地図に従っていえば、左にまっすぐに歩いてゆけば多摩川に突き当たることになり、その直前の道路を右に、すなわち西に向かって歩けば確か2キロも歩かないうちに発展著しい二子玉川に到着した。そこでちょっと美味しいレストラン「おねぎや」を見つけて昼食をとり、ゆっくりと帰宅した。

 さて、4枚目の写真のことであるが、私のかっての仲間で頭足類などに詳しい大阪大学理学研究所の准教授に、たった一枚でかなりピンボケの写真の説明をお願いした。彼が言うには、「それはひょっとしたらサンショウウオの幼生ではないか。そこが流れのある渓流ならば、ヒダサンショウウオ、ブチサンショウウオ、あるいはハコネサンショウウオのいずれかであるが、流れがない生息地から大雨か何かの際に流れてきたと考えれば止水性(流れのないところに生息する)のトウキョウサンショウウオである可能性もあります。トウキョウサンショウウオでしたら、珍しくはありません。以前は関東のあちこちに生息していました」という見解であった。
 魚類調査結果を出しておられるがサンショウウオの存在については触れられていない世田谷区に問い合わせてみたが、写真を見て鑑定をする専門家体制はしいていないとの返答で明確な回答を得ることはできなかった。残念ながらこの話はやぶの中に入ってしまった。後日、もし何らかの新しい情報が得られたら、それをこのブログに追加する予定である。でも、今回のピクニックでは久しぶりに生き物の話に出会えてなんだかうれしい気持になれた。

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