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2013年06月15日の記事は以下のとおりです。

二つの美術展、ひとつの恐竜展のメモ

  • 2013/06/15 14:46

 私は芸術的センスのない男だが、でもいいものはできるだけ沢山見ておきたいと思い、そのためしばしば美術展を観に行く。まずはリヒテンシュタイン侯国の「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」展についてメモっておこう。
 リヒテンシュタイン公国(あるいは侯国)は西ヨーロッパに位置し、スイスとオーストリアに囲まれた小国で人口わずか3万人強の立憲君主制の国である。その国のコレクションを日本で展示する主催者の朝日新聞のウェブサイトは次のように言う。
 「オーストリアとスイスの間にあるリヒテンシュタイン侯国。同国の国家元首であるリヒテンシュタイン侯爵家は、優れた美術品収集こそが一族の栄誉との家訓のもと、500年以上にわたってヨーロッパ美術の名品を収集してきました。その数は3万点に及び、英国王室に次ぐ世界最大級の個人コレクションといわれています。本展では同コレクションから名品を選りすぐり、日本で初めて公開します。世界屈指のルーベンス・コレクションからは、愛娘を描いた《クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像》などが来日。ラファエッロ、クラナッハ、レンブラント、ヴァン・ダイクをはじめとする巨匠たちの名画や、華麗な工芸品が一堂に並びます。」
 その「クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像」を用いたのが展覧会のチケットである(1枚目の写真の右部分)。展示品は絵と工芸品の両方がある珍しい展示で、私の目から見ればどれも素晴らしいものばかりであった。その中でも私を驚かせたのはルーベンスの「果物籠を持つサテュロスと召使の娘」(1枚目の写真の左部分)に見る光り輝くブドウの描写である。絵の描けない私にしてみれば、どうやればあんな絵が描けるのだろうとただただ不思議である。その超絶技巧とは別に私を感激させたのはフランス・ハルスの「男の肖像」の、何とも言えない、しかし重苦しくはなく、ただただ堂々とした圧倒的な存在感のある肖像画である(2枚目の写真)。とにかくどれをとっても素晴らしい作品ばかりであった。
 二つ目の美術展は「ボストン美術館 日本美術の至宝」展である。大阪市立美術館のウェブサイトは次のように言う。
「東洋美術の殿堂と称されるアメリカのボストン美術館は、世界随一の在外日本美術コレクションを誇り、国内でいうところの国宝・重要文化財級の優品も数多く所蔵しています。そのコレクションは、明治時代に教鞭を執るために来日し、後にボストン美術館日本美術部長となったフェノロサ(1853-1908)や、彼とともに東京美術学校(現東京藝術大学)設立に尽力し、後にボストン美術館にも在籍した岡倉天心(1863-1913)などによって形成されたものです。本展では、フェノロサ、日本美術収集家であったビゲロー(1850-1926)の優れたコレクションを含む日本美術の名品をこれまでにないスケールで紹介します。」
 この展覧会では残念ながら気に入った絵のはがきを買ってこなかったために皆さんにお見せすることはできないが、それはそれは素晴らしいものが山のようにありました。保存が本当に素晴らしくユーモアも溢れた「吉備大臣入唐絵巻」、長谷川等伯の「龍虎図屏風」、思い切ってグリーンを多用した尾形光琳の「松島図屏風」、曽我蕭白の「雲龍図」(3枚目の写真のチケットに部分的に見える)や「鷹図」など圧倒的であった。前回に長谷川等伯について書いた時にも思ったが(http://www.unique-runner.com/blog/diary.cgi?no=19 )、このような作品群が海外に流失したのは廃仏毀釈などの影響が大であろうが、それでも理解することは難しい。また、印象派の画家の多くを知ってはいても、我が国にいた多くの多才な画家や仏像師などの存在を私たちはそれほど知ることなく過ごしてきたことは異常でもある。丁度、敗戦後に私たちを含めてそれ以降の世代が近代史の教育を全く受けてこなかったことと同様で、何かが欠けているような気がして嫌な気分である。チャンスがあれば今後もできるだけ観ておきたいと思う。
 最後は大阪市自然史博物館における「発掘!モンゴル恐竜化石展」である(4枚目の写真)。この博物館では前回巨大な海獣展を観たが、今回は恐竜である。どんな種類のどんな大きさの恐竜がモンゴルのゴビ砂漠(もとは必ずしも砂漠ではなかった)を跋扈(ばっこ)していたかを、目の前の様々な化石から想像することができて楽しかった。その恐ろしい恐竜の姿に比べてその頃からひそかに始まっていたちっぽけな哺乳類の姿は痛々しかった。しかし、いまや立場は逆転したのである。その原動力はいまだ不明だが、それが“進化”である。最後の写真は巨大な骨格化石の恐竜であるが、その名前はタルボサウルス。写真は一緒に恐竜展を楽しんだ菅原氏からいただいたもので、ここに感謝の意を表したい。なお、モンゴルでのこのような発掘作業に大金を投じてきた林原のメセナ事業に大いなる拍手を送りたい。

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