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2020年04月03日の記事は以下のとおりです。

現在のPCR検査の政策はどこまでを視野に入れているのか?

  • 2020/04/03 10:31

 1枚目の写真は、2020年4月2日の読売新聞朝刊の記事である。それは特別の記事とは思わないが、外国、特にドイツ、フランスの現実をなぜか小さく報道したもので、その国々の姿勢はアメリカであれ韓国であれそれほど違いがあるはずもないと思われる。要するにそれは、世界を覆いつくそうとする新型コロナウイルスにどのように対応するかの方向性を示しているだけのことである。
 前々回のブログにも書いたと思うが、日本政府のこの件に対しての政策は、オリンピック・パラリンピックを控えていたこともあったのでだろうが、その時点での感染者数などを何とか控えめに表現したいという思いが感じられて、できれば感染者数が大きくならないように、このウイルスを検出するのに感度の高いPCR検査を避ける方向へと舵を切っていたように思う。そしてあえていえば、感染者の8割は極めて軽い症状を示すのみであるとの初期の報告をよいことに、それら8割の感染者が自然治癒の方向に向かって進んでくれることを望んでいた節も見える。
  そして、重症患者などを隔離・治療する施設の貧困さを隠すべく、PCR検査をできるだけ避けるべき理由として”医療崩壊”という脅しともとれる禁じ手を使っていたように私には見える。確かに、それが起これば我々治療を受ける側にとっては手の打ちようがないことも確かである。この政策の目指すところは医療崩壊を避けるところにあるが、しかしそれでは不幸にも感染し、じりじりと重症化してゆく過程にいる患者たちは治療を受けることもできずにある意味では放置されてしまう危機が待ち構えている。確かに治療薬もないのが現状ではあるが、それでも入院できれば衰え行く体力を補強することはできるはずである。自宅に居ては点滴もままならぬことは明白である。
 1枚目の記事には、ドイツやフランス(韓国やアメリカでも同じであろうが)ではPCR検査を「感染者の早期把握と隔離で、感染拡大の防止を徹底するのが狙い」として行っていると書いている。もちろんそうであろう。それが治療をも早めることになるとの理解であろう。その記事によれば、ドイツでは3月下旬まで週30万~50万件の検査が実施されていたのを、4月注人には1日10万件、4月末には1日20万件に増やす計画だという。同様にフランスでは、3月半ばまで1日5000件だったPCA検査を4月末には1日5万件に増やす計画だという。さらには30分ほどで判定できる簡易検査キットも導入し、6月までには1日10万件まで増強する予定だという。

  では、実際に日本ではいったいどれくらいの検査が実施されていたのだろうか。テレビなどで感染者数が報道されるときにはなぜかほとんどその母数である検査数は発表されない。そのような数字は東京都や厚生労働省のホームページを調べるとやっと発見することができるが、今日調べて5日前までの数字しか出てこないのは残念である。それはともかく、今日4月2日にしらべるとやっと3月28日までの集計された表を見ることができた(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10549.html )。それが2枚目の写真である。左側の表だけをご覧いただければ事態を簡単に判断できると思われる。要するに、3月28日までにわずか2万8千件余りしかPCR検査をしていないのである。別の言い方をすれば、それだけの人たちしか検査を受け入れてもらえなかったのである。当初、PCR検査にたどり着くまでには海外渡航歴の有無、37.5℃以上の発熱が4日以上続くこと、などの条件があり、さらにその後保健所などに話を聞いてもらってその関門を突破して初めてPCR検査を受ける資格ができるなどの条件が設けられ、高い関門が設定されていた。しかしその後これらの条件は検査人数を減らす口実だったらしいことが徐々に国会などの質疑やテレビ取材などで明らかになりつつあった。そこで、保健所の関門が高いということもあり、また民間にも検査を依頼するためには保険適用にした方がよいとの意見などから保健所の関門を撤廃すれば検査数が増えるだろうと議論されたが、それは検査数の改善にはほとんどつながらなかったことが厚生省などのデータを見れば明らかであった(その数値はここには掲載していない)。

 このようなPCR検査の実態は何を物語っているのだろうか。この検査の問題については当初から感染しているかどうかを是非知りたいという国民の意向と乖離しているのではないかとの強い批判が出ていた。つまり全く検査してもらえないとの申し出が多くのメディアで報告されていた。したがって日本の政策は感染しているかどうかわからないという市民の焦燥感、不安感を救うのではなく逆に増幅していることになっていたはずである。医療政策があるべき姿とは逆のことをしていたといえる。そうならないようにするには、きちんとした検査の実態、国の方針の真意を正確に明らかにすること以外にはない。それが全くできていない安倍内閣の政策実行のやり方は、これまで何度となく繰り返されてきた隠蔽、公文書改ざんなどを考えると、残念を通り越して怒りでしかない。
 ではそれだけで済むことであろうか。実はもっと大きな問題を含んでいる。1枚目の記事の写真の最後には意味深長なことが書かれているのでその部分を引用したい。「また、今月15日までを期限に実施している外出制限の解除後に備え、ウイルス免疫の有無を調べる血清検査の実施も検討している」ここではウイルス免疫を話題にしているが、それがPCR検査によるウイルス遺伝子が存在しなくなってる証明であっても同じで、いずれにせよウイルスが存在しない(ウイルス免疫が存在する、つまり回復している)状態であれば外出を許容する、という判断材料にしたいと考えているようである。ドイツやフランスが目的とする高い検査能力の獲得は、短時間で国民すべての検査を可能にすることを目指しているように思える。そのうえで感染のあるなしでもって行動の自由の判断をしようとしているのである。それはそれでよいとすれば、同じように考えて十分に検査されていない国からの外国人の入国は禁止するという判断をされても何の不思議もないということになる。日本はもはやグローバルな関係の中でしか生きられないようになってしまっている。その時他国から敬遠されざるを得ないような状況を作っては致命的であろう。
 いま日本は、必要な検査が行われていないと多くの国から勘繰られているのは事実である。上にも書いたように、これほど大騒ぎしながら、いまだにたった3万件の検査しか実行されていないのであり、それ以外の検査を求める強い要望は高い壁を設けて口頭で弾き飛ばしているのである。今でも大竹まこと氏やいろいろな方々から告白されている。これをそのままにしておいて、万が一、比較的うまく感染が抑え込まれた場合に、他国は果たして日本からの旅行者を容易に受け入れるであろうかと考えると、暗澹たる気持ちである。今の日本の状態はいささか異常である。これまで政府は、1か月も前に1日4千件の検査をできるようにする、あるいは簡易検査法の導入などといいながら、それが実現できるような態勢をとりえていないことを考えると、この先企業や国民から激しい批判が出るような状態が避けられるとは到底思えない。これから幸い毎日の感染者数が下がっていったとしても、その先が思いやられるのである。日本は医療大国とはとんでもない、実質的にはある種の医療崩壊の孤島になりかねない。ある評価によれば、防疫体制から考えると日本は世界の21位にランク付けされているようである。1日当たり10万件や20万件などの検査体制の確立の話は全くの夢物語である。

  なお、画像は拡大してご覧ください。

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