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[簡易復元] 中国高速鉄道で大事故―事故原因の解明における日中の差

  • 2011/09/16 12:09

 7月23日中国高速鉄道で大きな追突事故が発生し、40名近い死者が出た。日本やドイツからの技術移転を受けながら高速鉄道を自主開発と宣伝してきた中国としては、大きな挫折を感じたのではないだろうか。確かに、ここ数年の高速鉄道網の広がりは驚嘆に値する。はたして安全は担保されているのだろうかと心配でもあり、中国国内でもその声は抑えきれないほどの広がりを持ったようであった。1枚目の写真はその現場の写真である。
 それより驚いたのは、この事故の先頭車両を穴を掘って埋めたという事実である。これにはいろいろな言い訳があるようであるが、事故原因が見つかる可能性の高い証拠物件を埋めてしまうというのは、ちょっと想像ができない暴挙であろう。報道によれば、そのように埋めてしまうのは中国での列車事故現場ではよく行われていて何の不思議もないという。いったいどうなっているのだろうか。そのことを伝える読売新聞の写真が2枚目である。
 そんな時、かって日本がロケット打ち上げ失敗の原因探しに、海底3000mから事故を起こしたロケットエンジンを回収したことを思い出した。
 「失敗百選 ~H-IIロケット8号機の打ち上げ失敗(1999年)~」は次のように言う。
「運輸多目的衛星を載せたH2ロケット8号機が、1999年11月15日午後4時29分、宇宙開発事業団・種子島宇宙センター (鹿児島県)から打ち上げられたが、第1段目エンジンが予定時間より早く停止し、予定軌道をはずれたため、宇宙開発 事業団は地上からの指令でロケットを爆破し、打ち上げは失敗した。(中略)二段式のH2ロケットの1段目エンジンは約6分間燃焼するはずだったが、点火から約4分後に停止した。このため ロケットの上昇速度が落ち予定軌道をはずれた。さらにその状態で1段目と2段目が分離し、2段目エンジンが燃焼を始めるなど、制御不能に近い状態になった。事業団はこのまま飛行を続けると追尾不能になり地上への落下などの危険が生ずると判断、打ち上げから7分35秒後に爆破指令を送った。管制記録などから高度46キロの上空から落下し、小笠原諸島の北西海上150キロ付近に墜落した。
 2000年1月23日 8号機のエンジンは小笠原沖水深約3000mの海底に沈んでいるのを海洋科学技術センターの調査船が発見。エンジンを回収した。宇宙開発事業団は28日、小笠原沖の海底から回収したエンジンを科学技術庁航空宇宙技術研究所に搬入し、打ち上げ失敗の原因究明を始めた。(中略)主エンジン『LE-7』の水素燃料ポンプの羽根が破損したことを突き止め、ポンプで発生した大量の気泡が原因とした。これらの原因追求結果、後継のH2Aロケットの「LE-7」 に反映された。」(http://www.sydrose.com/case100/124/ )。3枚目の写真に写っているのは、海底から引き上げられたロケットの主エンジンである。
 深海からのこのエンジン回収劇はNHKスペシャルでも放映されたことでよく記憶している。3000m海底から3m四方のものを回収するというのは途方もないことだろうと思う。それをしてでも事故原因を追究しようとした日本の技術者の心意気には感動した。中国の技術者にも政治社会状況に流されることなく、技術の安全性を高めるためにも厳しい事故原因追及の土壌を創り上げられることを期待したい。“急ぐな!中国!”と声を大にして叫びたい。
 そうは言っても日本の技術者魂が万全だとはとても言い難い。東日本大震災で起こった福島第一原子力発電所事故の内情は、はたして正確に公表されたのであろうか。このことについては大いに疑問だとする声が圧倒的である。このことを含めて事故調査委員会が事故原因の詳細を早く明確にすることを望みたい。

 なお、8月12日中国の車両メーカー「中国北車」(今回事故を起こしたメーカーとは別会社)は故障が多いとして54編成の車両の回収を当局に申請したようである(4枚目の写真)。

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