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“なでしこの花”に鮮やかに光輝いた銀メダル!

  • 2012/08/11 11:17

 オリンピックでの初のメダルを確定した「なでしこジャパン」の最後の戦いは、サッカーの聖地と言われたウェンブリースタジアムでの「五輪の女王」アメリカとの宿命の対決であった。昨年のW杯ドイツ大会での死闘の末での日本の勝利は、アメリカの打倒日本の執念を引き出していた。予選リーグでのフランスとの戦い、そして決勝トーナメントでのカナダとの死闘をそれぞれ逆転で制し、当然来るであろうなでしこジャパンを待ち構えていた。一方なでしこは決勝トーナメントでのブラジル戦とフランス戦で押し込められる展開が続き苦戦したが、しかしそれらを安定した粘り強い守備と驚くほど高い決定力でしのいで(1枚目の写真)遂に決勝戦に登場し、再度のアメリカとの決戦を可能とした。
 ゲームの初めからリベンジの執念に燃えるアメリカは、8分素早い展開からペナルティエリアに持ち込み、二人のディフェンスが僅かに詰めを怠った瞬間にモーガン選手にセンタリングを許し、後ろから猛然と突っ込んできた10番のロイド選手に鮮やかなヘディングで押し込まれた。モーガン選手はメキシコ男子チームの選手のようなドリブルをする選手で最も危険な選手のひとりであった。しかしその先制点に臆することなく、なでしこも川澄、大野、大儀見選手らが次々とゴールを襲うが二度もクロスバーに阻まれて得点できなかった。しかも、ペナルティエリア内での相手ディフェンスの明らかなハンドをレフェリーは見落とし、なでしこは同点にするチャンスを得られなかった。
 後半も互角の展開の中、またしても54分ロイド選手がドリブルで持ち込み、ペナルティエリアの外から素早く右脚を振りぬいて素晴らしいゴールを決め、圧倒的に有利にたった。しかし日本も18分、宮間選手からのスルーパスを大野―澤―大儀見選手とつないで1点を返し、夢を繋いだ。しかし、あと1点が最後まで返せずに万事休した。しかし、3枚目の写真にあるように、コーナーキックに飛び込んだ熊谷選手の腰を相手ディフェンダーがガッチリと抑え込んでいる様子も見え、このゲームにかけるアメリカの執念を見る想いである。なお、ロイド選手はW杯の決勝戦でのPK戦で、PKを失敗したキッカーのひとりであり、人一倍雪辱に燃えていたのであろうか。
 ゲームを終えるとそこには涙に震えて横たわる主将の宮間選手の姿があった。佐々木監督に抱きかかえられて起き上った宮間選手に寄り添うようにしていた大儀見選手を見ると(4枚目の写真)、それは昨年のW杯のときの永里選手とは全く違う人間を見ているようであった。その風景は、当たり前ではあるが、スポーツも人を育てるという意味で例外ではないと強く感じた。それが私には一番うれしいことであった。
 今回のなでしこジャパンの戦いはこれで終わった。それにしても“汽車ごっこ”のような愉快な行列で表彰式の場に登場し、表彰台に上がってきたなでしこジャパンの選手たちの晴れやかな笑顔に救われる想いであった。本当に粘り強く、諦めず、最後の最後まで、ボール支配率58%をもって全力を尽くして戦った。彼女たちの想いは日本にはもちろん世界中の人々に響いたのだろうと思う。アメリカのメディアもレフェリーの判定の問題に言及して、「少しの運」が味方したという。主審の母国ドイツのメディアも「今回のレフェリングは失敗した」と報じている。
 そんなレフェリングのことを記者会見で聞かれた佐々木則夫監督は、「レフェリーが何を見たかはわかりませんが、私はレフェリーの判定を尊重します」という意味のことを答えたという。このような監督指導の下で成長した選手たちは、レフェリングに対してなんの執拗な抗議もせず、ただ、淡々としかし全力で戦ったといえる。それがまたみんながなでしこを応援したくなる気持ちを支えているような気がする。そのような“なでしこの花たち”が、今回のロンドンオリンピックの日本チームの快進撃を引き出したのかもしれない。ロンドンから9500キロ離れた北海道では今なでしこの花が咲いているという。日本における女子サッカーの更なる発展を期待してなでしこリーグの観戦を続けたいと思う。
 なお、写真にした記事はすべて読売新聞に掲載されたもので、2枚目からの写真はすべて決勝戦関連である。すべての写真はクリックで拡大でき、文章も読めるはずです。

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