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[完全復元] 鳩山政権に対する「ないものねだり」のマスコミ論調

  • 2011/09/22 09:46

(この記事のオリジナルは2009年12月23日に書かれたものである)

 今年の9月に発足した鳩山政権に対するマスコミ論調は、私には不必要に騒がしいような気がする。鳩山政権は様々な新しい試み、新しい方向性を打ち出している。例えば、外交で言えば東アジアにおける新しい共同体構想、公共工事の見直し、予算編成のこれまでにない透明性の確保、控除から手当てへと変更させつつ家計レベルへの支援などいろいろある。
 しかしNHKを含めてのマスコミの論調は、こぞって「ないものねだり」をしていると私には見える。現在の日本の不況は、結局のところこれまでの自民党政権が築いてきた内需軽視・輸出重視のつけが回ってきただけのことであろう。景気がよいときであっても企業は内部留保に努めて労働者への賃金アップを渋り、富の分配の公平性への舵を切ってはこなかった。つまりは、マスコミは今の不況の原因をサブプライムローンの問題にすり替え、これまでの自民党政権の施策そのものに踏み込んではいない。言い換えれば、自民党とマスコミは同じ穴のムジナである。
 例えば、昨日の読売新聞の記事を見てみればわかる。そのタイトルは「首相、妥協の『最終結論』」、「否めぬ小沢氏の影響」、そして「暫定税率『要望受入れ』 子ども手当『公約守る』」とある。これまでの方針決定などで「妥協」でなかったことなどあったのであろうか?妥協は悪いことなのであろうか?また、与党の幹事長の影響が予算編成にないなんてことは、もともとあるはずもないことである。また、与党の意向を受け入れることのどこに問題があるのであろうか?「暫定税率『要望受入れ』」は民主党の要望を受け入れたことを指し、「子ども手当『公約守る』」はなぜ要望受入れの下に書かれているのであろうか。いずれも、現政権へのネガティブな評価をその言葉の使い方の中に秘めさせた、いやらしいやり方である。ちょうど、凶悪犯罪人とおぼしき人が警察の留置場に入れられたとき、新聞が「出された食事もちゃんと食べたようだ」と書くべきところを、「出された食事も全部ペロリと平らげた」と書くのと同じやり方である。
 しかし最も大事なことは、その本質部分をどう評価するかであろう。例えば上の記事の中にわざわざ「哲学」という小さな見出しを付けた部分がある。その内容はと言えば、それは「同じ記事の中の括弧でくくられた部分、すなわち「社会全体で子供を育てる」ことだと分かる。しかし、この「哲学」についての評価はこの記事には一言もない。ただ、「哲学」をあざ笑うような感じで持ち出しているにすぎない。すべてがこのような感じである。「事業仕分け」でもそうだった。初めての試みで問題は幾つもある。しかし、それが新しい事始めであることは誰が見てもわかる。しかし、マスコミはその問題点ばかりをついてその重要性の議論をしない。自民党議員の何人かが自分たちもやりたかった、と述べていたにもかかわらずである。
 書き始めるときりがない。私は現政権がすべて良いなどと思うほどお人好しではない。でも、これまで何十年にわたって続きながらどうしようもない自民党政権に対して国民が罵声を浴びせ、そして倒した後にできた政権である。だから、現在行われているマスコミの批判は大きな問題である。私は今のマスコミの論調は、「ないものねだり」だと感じている。現政権はこれまでの政権と異なり様々な新機軸を打ち出している。しかし批判は、その不十分さやその実行における未熟さに向けられているように見える。
 はたして新しい政権を根付かせ、育て上げる方向を向いているのか、あるいは自民党がやるようにタダ倒すためにだけにやられているのかは、見ていればわかる。大方自民党と同じである。その最大の問題点は、上にも書いたが、新しい方針をこれまでの自民党のそれと対比して評価し、問題点があればその修正の方向を明示することだろう。残念ながら今のところNHKを含めて各マスコミの論調は「ないものねだり」ばかりで私の気に入らない。ただ、昨夜見たテレビ東京計れるの「ワールド・ビジネス・サテライト」(WBS)は「子ども手当」問題に関して、「富の再配分」と「控除と手当」という関係から前向きな落ち着いた議論をしていたのが注目される。それを聞いて私もちょっと勉強してみたいと思えた。

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