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古い本「サイパン」、「裁判官」、最近の映画「ウィンドトーカーズ」、そして安保法制

  • 2015/09/20 17:13

 奇妙なタイトルになってしまった。以前どこかに書いたことがあるが、私は子供のころにひどく影響を受けた、つまりはショックを受けた本が2冊あった。その1冊はサイパン島での激戦を記したもので、そこにはむなしい戦場の写真が載っていたのをこっそり見て覚えていた。その本は、父の兄弟がサイパン島で戦死したことから父が購入したのだろうと思っていた。その本はいつか私が親のそばを離れるとともにどこかに消えてしまっていた。しかしその本を見てみたいという思いが強く、10年以上も前からその本をおぼろげな記憶を頼りに古書店で探し回っていた。それがやっとかなえられ、1週間ほど前に東京の古書店で手に入れることができた。それは「サイパン」というタイトルの本で、アメリカの著名な従軍記者ロバート・シャーロッドの手によるもので、中野五郎訳により昭和26年に光文社から発行されたことが分かった。
 もう1冊の本は「裁判官 人の命は権力で奪えるものか」であり、弁護士の正木ひろしの著作である。これは私が中学の終わりか高校の初めころに読んだことで比較的よく覚えており、山口県で起こった八海事件の裁判を扱ったものであり、なんと17年もかけて結論に達した裁判であった。そしてその本は、そこに秘められた冤罪性と死刑廃止の問題を激しい言葉で議論していたことを覚えている。
 この二つはいずれも忌々しい人の死を扱ったものであり、最初の「サイパン」は、激しい戦闘の恐ろしさとむなしさそして前途ある若者の死、さらにバンザイクリーフでの出来事で知られる民間人の悲惨な最期を教えてくれ、沖縄戦での同様の出来事を想起させる。不思議なことに丁度この本を読み始め、少し読みつかれたとき私は自分の映画DVDのライブラリーからたまたま「ウィンドトーカーズ」という映画(監督:ジョン・ウー、ニコラス・ケイジ主演他)を引っ張り出して観始めた。まったく内容を知らずに観ているとなんとそれはサイパン島での世界最強と言われた米国海兵隊と日本軍の惨めな戦闘を描いたもので、偶然とはいえ本と映画の両方で父の兄弟が亡くなったそんな戦いを見せつけられたのかと思うと惨めな気持であった。
 そんなことを感じていた19日、安倍政権による集団的自衛権を中核とする法案が強行採決され成立した。これを成立させた最大の目的は、安倍によれば近隣諸国への抑止力の確保だという。私は抑止力を信じていない。戦争は、そんなことよりちょっとした不測の、あるいは小さな挑発的な行動によって引き起こされることはこれまでの大きな戦争の始まりを見ればわかることであろう。日米開戦も、強大国アメリカへのまさに“窮鼠猫を噛む”がごとき仕掛けだったのではなかったのか。そんなあぶなっかしい武力行使への道を進むよりは、非戦への道を進む方がこれまでの70年の歴史をはるかに生かすことになると私は思う。だから、何かのはずみで攻撃されてこの国に犠牲者が出ることを恥じるよりは、他国に出かけて他国の人々を殺すよりはまだましだと考えるしかないのではないか。そう思う国がなければ、世界中での武力行使国は増えるばかりだ。それが憲法9条の意味するところではないのか?何故にそう出しゃばりたがるのか?身の丈で生きればよいのだ。
 現在死刑制度があるこの国でも、かってはまれにしか聞かなかった殺人事件のニュースが今や毎日毎日報道される嫌な時代になってしまっている。「裁判官」は裁判のシステムのことはさておき、人の命を奪う死刑が犯罪の抑止力になるかとの問題をも提起する。残念ながら現在死刑制度が抑止力として生きていないのは明らかだろう。だから、世界中で死刑廃止が叫ばれている(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E6%AD%BB%E5%88%91%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%AE%E7%8F%BE%E7%8A%B6 )。
 核武装もせず、集団的自衛権にも頼らず、死刑制度も無くして生きている国は沢山ある。

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