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冬の出雲を旅する (1)足立美術館

  • 2017/02/05 23:40

 ひとつ前の記事(記事番号No. 259)「夢から引き出されてくる遠い昔・・・」に書いたように、私の生活圏はきわめて狭いものであった。そんなことを知ってか知らずか1月の中旬に息子が私たちを出雲の国への旅に招待してくれた。大雪が降って飛行機が飛ぶのか飛んでも空港に降りられるか不明の中、全く幸運なことに無事出雲空港に降り立つことができて、多くの楽しみを得ることができた。その中ではもちろん出雲の国つくりと関係の深い出雲大社に関わることもたくさんあるが、それは難問なので後回しにして、もっと感覚的に楽しむことができた超一流の足立美術館を訪れるチャンスを得たので、最初のブログはそれに関するものにしたい。
 私が全く知らなかった足立美術館についての基礎知識を、いつものようにWikipediaに尋ねることにした。Wikipediaは言う、
「足立美術館(あだちびじゅつかん)は、島根県安来市にある、近代日本画を中心とした島根県の登録博物館。運営は、公益財団法人足立美術館。130点におよぶ横山大観の作品と日本庭園で有名。
 地元出身の実業家・足立全康(あだちぜんこう、1899年 - 1990年)が1970年(昭和45年)、71歳のときに開館したものである。質量ともに日本一として知られる大観の作品は総数130点にのぼり、足立コレクションの柱となっている。大観のほかにも、竹内栖鳳、橋本関雪、川合玉堂、上村松園ら近代日本画壇の巨匠たちの作品のほか、北大路魯山人、河井寛次郎の陶芸、林義雄、鈴木寿雄らの童画、平櫛田中の木彫なども収蔵している。
 足立全康は裸一貫から事業を起こし、一代で大コレクションをつくりあげたが、その絵画収集にかける情熱は並外れたものであったらしく、数々の逸話が残されている。なかでも大観の名作『紅葉』と『雨霽る』(あめはる)を含む「北沢コレクション」を1979年(昭和54年)に入手した際の武勇談は有名である。
 足立美術館のもう一つの特色は、その広大な日本庭園である。庭園は「枯山水庭」「白砂青松庭」「苔庭」「池庭」など6つに分かれ、面積5万坪に及ぶ。全康自らが、全国を歩いて庭石や松の木などを捜してきたという。 専属の庭師や美術館スタッフが、毎日手入れや清掃を行っていて「庭園もまた一幅の絵画である」という全康の言葉通り、絵画のように美しい庭園は国内はもとより海外でも評価が高い。 日本庭園における造園技法のひとつである借景の手法が採られ、彼方の山や木々までも取り込んで織り成す造形美は秀逸である。
 米国の日本庭園専門雑誌『ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング』が行っている日本庭園ランキング(Shiosai Ranking)では、初回の2003年から2015年まで、13年連続で庭園日本一に選出されている。2012年のランキングは日本国内約900箇所の名所・旧跡を対象にしたもので、「庭そのものの質の高さ」「建物との調和」「利用者への対応」などが総合的に判断されたもので、とくに細部まで行き届いた維持管理が評価されている。2015年のランキング上位5位は、1位・足立美術館(島根県)、2位・桂離宮(京都府)、3位・山本亭(東京都)、4位・養浩館庭園(福井県)、5位・御所西京都平安ホテル(京都府)。
また、フランスの旅行ガイド『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』や『Guide Bleu Japon』にて、それぞれ三つ星(最高評価)を獲得している。」
 上の引用は総合的な部分を省略なしに行ったもので、簡潔に書かれて無駄がなく、ありがたいことに私ごときが付け加えることがない。つまり、この引用は足立美術館についての基礎知識ではなく、その全貌である。あとは私が撮った写真でその雰囲気を少しだけでもお伝えするだけである。ただし、絵画などの貴重な展示品については写真撮影が許されないので、写真はそれ以外のものに限られる。
 当日は青空ながら雪がぱらつき、降り積もった田舎の風景の中にぽつんと立つ足立美術館の姿が1枚目の写真である。そして、私が写真にしてすばらしいと思ったのは、館内から日本庭園を眺めた時の風景で、訪れた人たちはみんなそれに見とれて動かない。その強い印象から、それを2枚目の写真として出させていただいた。もちろん、庭園それ自体の風景も素晴らしい(3枚目の写真)。その感じる理由の一つは、上の引用にもあるように『日本庭園における造園技法のひとつである借景の手法が採られ、彼方の山や木々までも取り込んで織り成す造形美は秀逸である』からであろうか。借景の手法とは、中国庭園や日本庭園で見られる手法で、庭園以外の自然の山や樹木などを背景として取り込む造園法であるらしい。区写真の右上と左下の写真の遠方にはまっすぐに下り落ちる滝が見える。ただ、当たり前であるが雪が降り積もっていて雪の下緑の色彩を楽しむことはこの雪の季節には望むことはできなかった。その意味では、引用にも書かれているような多彩な庭園を存分に楽しむことはちょっと難しかったので、別の季節に訪れるのが正解であろう。なお、組写真の右下の雪が青みがかっているのは、青い空の反射だろうと思われる。
 館内を足立氏の指示通りの順序で進んでいくと、やはりその風景を“額縁”のように切り取ってみせる構造を意識して作らせたことが徐々に分かってきた。それを写真にしたのが4枚目の写真である。この額縁を使えば、参加者は様々な位置から自分の好きな風景を“絵画”として眺めることが可能になるのである。何とも楽しい設計である。もちろん、庭園と建物の融合も様々に考えられていて、その組写真を1枚最後に載せさせていただいた。
 なお、美術館の目玉である素晴らしい絵の数々については残念ながらここにお見せすることはできないが、横山大観を初めとしてすばらしい大作を存分に楽しむことができたし、素晴らしい童画も楽しめて最高であった。チャンスがあればまた訪れてみたいものである。皆さんも中国・山陰地方に旅をされるチャンスがあれば安来市の足立美術館まで是非足を延ばしていただきたい。

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