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平成30年の年の瀬に一言・・・国は原発をどうするつもりなんだろうか?

  • 2018/12/31 21:19

 言いたいことは山のようにある。そこで、この年の瀬に神戸マラソンの惨敗に打ちひしがれ続けているのを思い切ってやめて一つだけ短いブログを書いておこう。本当は、長いブログは嫌い!と仰る読者の皆さんへの嫌味の一つも、また米中貿易摩擦も医系大学の不正入試問題のことも言いたいが、それは今は忘れよう。

 さて、写真には「原発『処理水』100万トン超へ」との見出しの読売新聞12月29日付の記事を出した。それによれば2020年末までには137万トン分のタンクを確保する予定だと言うが、一方来年1~2月までには貯蔵水は100万トンを超えることは確実という。現在の処理水増加の勢いは、廃炉の過程もあってあと何十年は間違いなく続くのである。また、現在の敷地面積から考えれば貯蔵水用のタンクを建設するスペースはもうほとんどなく、何らかの形で貯蔵水の大半を占める処理水を処分する以外にないと言われている。
 その「処理水」とは何かといえば、それは高度に放射性物質で汚染された水から様々な方法で放射性物質の除去を進め、残った「トリチウム」(三重水素)という水素元素の放射性核種のみを含むもののことを言うのである。しかしこのトリチウム(三重水素)を処理水から取り出すことはある意味天文学的費用がかかると言ってもよいでしょう。したがってそれを処理することは事実上断念せざるを得ない。ではどうするのか?トリチウムは宇宙線と大気との反応で常に生成され、空気中、海水、あるいは土壌成分に含まれることになる。ということもあってこれまでは原発から出るトリチウムは安全だとして海水中に放出されてきたのである。しかしアメリカでは原発が集中するところに住む子供たちがトリチウムの影響を受けているとの報告も出されて問題が顕在化した(https://www.sting-wl.com/yagasakikatsuma11.html )。
 このトリチウムという三重水素を含む化合物は現在特に生命科学の研究には欠くことができない材料になってきました。私もかってはそれを使ったことがあったが、その廃棄処分には大丈夫かと気になったことを覚えている。当時、その廃棄に際して新しい手段としてアルコールを50%混ぜて焼却炉で完全焼却するという手段をとり、空気中に拡散させることになっていた。その時私も計算した覚えがあるが、宇宙線によって生成されキャンパスの空間に雨となって降り注ぐトリチウム量を計算したところ、我々の焼却によって放出される量は圧倒的に少なく、自然に生成される量とは比較にならないほど少ないことで安堵したことを覚えている。

 しかし、原子炉から放出されるトリチウムはわずかではない。ましてや、低線量被爆の恐ろしさは十分解明されていない現状を考えれば、放射性物質の自然界への放出は極力避けなければならないのは当然だと思われる。したがって、問題は、基本的に処理することの難しい放射性物質を放出せざるを得ない原子力発電所をそれほどの危機感もなく、あるいはそれほどの問題はないと国民に宣伝しながら建設を進めてきた政府・企業複合体の問題が大きいと言わざるを得ないのである。ましてや、東北大地震と大津波によって破滅的な原発事故を引き起こした後も、なお新しい原発の海外輸出や国内原発の再稼働などをきわめて積極的に推し進めている政府や業界の馬鹿さ加減というか無責任さにはいささか呆然とせざるを得ない。今回ここに書いたトリチウムの問題は放射性物質放出の一部分にすぎず、これよりはるかに高濃度の汚染物質や使用済み核燃料の問題は今後何百年、何千年と、いや何万年もの間地球環境を汚染し続けるものであることを忘れてはならない。それにつけても、マスコミの報道はこの程度の報道でよいのだろうかとつくづく思う。

 今後の政府・企業複合体の動きをきちんと見極めていくことが、私たちに課せられた未来への責任であると思う。

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