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2012年08月12日の記事は以下のとおりです。

大金星を挙げた男子U-23 しかしメダルには届かず!

  • 2012/08/12 14:33

 グループリーグ初戦で無敵艦隊スペインを撃破し、一気にグループリーグを一位で突破した日本代表。決勝トーナメントでもエジプトを3-0で快勝して4強入りは果たしたが、そこからは厳しい関門が待ち構えていた。
 迎えたのは中米の伝統的なサッカー強国メキシコであった。身体は日本とは変わらないが圧倒的なキープ力と決定力をこれまでW杯などで示したけれど、不思議にも44年前のオリンピックメキシコ大会で日本に敗れてメダルを逸して以来メダルに手が届いていなかった。これは日本へのリベンジの戦いであった。
 前半12分に大津の豪快なシュートで先制し、それまでの勢いに乗っていたが、31分にコーナーキックから同点とされ、65分にはディフェンス陣のミスから勝ち越し点を奪われ、終了間際にも追加点を奪われて万事休止となった。この試合前半はともかく、後半に入ると目立って運動量が落ち、メキシコの速いドリブルについてゆけず、故障を押して出場してきた永井にも切れ味が見られず、それを生命線としてきた日本チームの快進撃も終わりを告げる形となった(1枚目の写真)。
 日本チームはこれまで永井を中心としたスピードと、ギリギリまで相手を追いつめる執拗な守備という精神力でここまで駆け上がってきたが、そのスピードに疲れからか陰りが見えれば、それに支えられていた精神力も十分に持ちこたえられないのは当然であった。しかしこのゲームを見ていて思ったことは、メキシコの素晴らしくスピードに乗ったドリブルに象徴される生き生きとしたプレーぶりであった。それに比べて日本選手のプレーには苦しさが滲み出ていたように感じられた。
 その点に関して評論を読売新聞に書いている元ヴェルディ総監督の李国秀氏の見方(2枚目の写真)は面白いので是非お読みいただきたい。李氏は、メキシコの選手は得意な形になるようにボールを操ってドリブルし、パスを出すなりシュートを打つなりするが(ここは書いてないが)、日本の選手は苦しい状態のままでプレーしている、と見ている。したがって、プレーに生き生きとした活力が見られないと嘆く。そしてそれは、どうゆう状態で、どうゆうボールの持ち方でプレーすればストレスが少ないかを子供の時から感じながら育ってきたメキシコ選手と、それを問題にせずにスピードと精神力を最高の評価基準として育ってきた日本の選手との違いだと断じている。この点は韓国との3位決定戦に敗れた時の李氏の評論とも関係している。
 スピードに陰りが見え始めた日本と韓国の銅メダルと賭けた戦いは、初めからなんだか結果が見えていた感じがした(4枚目の写真)。戦前から個の強さにおいて勝っていると言われていた韓国選手に、2点ともカウンターを見舞われ、カウンターの恐ろしさを感じさせられた。翻って考えてみれば、モロッコ戦やエジプト戦での貴重な得点も俊足永井を軸にしたカウンター攻撃に他ならなかった。
 韓国戦での1点目のカウンターで、相手選手一人に対してシュートを打たれる前には4人のディフェンスがいたのである。それでも、あの時の画像を見ても分かる通り、4人のディフェンスが固まった存在であり、4人いても相手にとっては1人のディフェンスとしか見えない存在であったように思う。カウンターというのは、時間をかけて組織だって相手を崩して責めるよりも、スピードとキープ力と決定力を持つトップの選手が1人いれば、わずかのディフェンスをかわせば得点できるという意味で、“勝つ”という点に徹した戦法という意味ではなるほど恐ろしいものだとつくづく感じさせられた。
 しかし、サッカーとはそうゆうものか?そのようなサッカーの対極にはスペインのような全員が連動して相手を崩して打ち負かすという戦法がある。なでしこジャパンは明らかにこの戦法であって、フィジカルとスピードに劣る選手が中心のチームがたどりつく究極のやり方だと思われる。日本のU-23チームもこの戦法とカウンター戦法の両方を狙ったのであろうが、今大会で最も機能したのは、それによって韓国に敗れたカウンター戦法であったのだと私には思える。
 この両方の戦法をいかに使いこなすか、については再び李国秀氏の評論が有効であろう。5枚目の写真の記事にあるように、「サッカーとは『うまい』『賢い』の次に、スピードや精神力(頑張り)が来るものだ。3番目の要素が最も評価されているのではやはり限界がある。女子は決勝で『もう一度やれば米国にも勝てる』と思わせるゲームを演じたが、男子はそうではなかった。値打ちのあるプレーを求めていくよう、育成時代からしつけていくことが必要だろう」と李氏は述べている。この文章の中にある「最も評価されているのでは・・・」との文章の前には「日本で最も評価されているのでは・・・」との言葉が入っていると解釈すべきであろう。李氏の評論にはいつも「賢い」、つまりは「優れた判断力を持つ」選手の育成が基本だと述べられている。そのあたりのことを今回戦ったスペイン、メキシコそして韓国あたりから学ばなければならないのであろう。なお、掲載した記事はすべて読売新聞のものである。
 それはそうとして、なでしこジャパンはもちろん男子U-23チームは大いに我々を力づけてくれた。ただただ彼らの勇気に敬意を表したいと思う。

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