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民主政権、消費税増税に舵を切る!

  • 2011/12/30 10:10

 民主党が自民・公明政権から政権を奪取して2年、財政再建の見通しの甘さから様々な新政策がとん挫し、マニフェストで約束した政策が反故になりつつあったが、東日本大震災に見舞われその対策に苦しめられた菅政権の後を受け継いだ野田政権が新しい道を開きつつあるように見える。

 特に消費税増税は、政権奪取を果たした衆議院議員選後の4年の任期中は増税しないが、その後のための議論は始めるとしていたにもかかわらず、鳩山政権はそれを果たせず、菅政権は大震災のためにそれどころではない事態に直面していた。そのような状況の中、大震災も絡んで支出が急増してゆく中、事態は悪化の一帯をたどりつつあった。

 2011年3月時点での2010年度の国債残高、つまりは国の借金は768兆円となり、これは国民総生産(GDP)の160%、つまり1.6倍という巨額の債務を抱えるに至った。そして、その結果、一般会計に占める税収の割合は39.6%にとどまり、今年度は40%を超えることは確実である。これは、それまでの政権の放漫財政と財政規律を守るという意味での政策の欠如を如実に表している。それは国会議員が政治家としての役割を放棄し、ただただ選挙を通して国民に迎合した結末であったと言わざるを得ない。このような結末はアメリカやEUを含めて世界的にみても同様のようであり、あらゆるところで混乱が続いている。
 今回の野田政権は当初からその問題に意欲を見せ、その中心に財政再建に強い意欲を示してきた藤井元財務大臣を据えて議論を続けてきた。なかなか決着がつかなかった反対勢力の反対理由は、増税と景気に水を差すことになりかねないという理由による国民の離反で選挙が戦えなくなるという没政治家の意見と、増税の前にやるべきことが沢山あるとの主張だったようである。例えばそれは国会議員数削減であったり公務員数の削減であったりである。しかし、これまでの経過で明らかなように、そのことはこれまでも何度も言われてきたことで、何年たっても改善されてはいない。それらの理由は、増税という決断をしないための方便に過ぎない、あるいは結局そうなってしまうと言わざるを得ない。
 私はかねがね政治家は国民の顔色を見すぎる、つまりは世論調査を気にしすぎて結局は何もできない政権運営に埋没してしまうことになっている。一方国民も、ちょっと気に食わないことがあると直ちに世論調査に反旗を翻し、あらゆる政権発足当時高い支持率であったものがたちまち下落するという事態を招いている。私は、少しも我慢強くない国民世論もこれまでの政権が何もできなかった理由の一端を担っていると感じるべきだと思う。世論調査の内容そのものも、やりようによってはどのような結論も引き出すことが出来る厄介なものなのである、と国民は理解すべきである。
 そして昨夜、9時間にわって紛糾した議論の末民主党として、2014年4月に8%、2015年10月に10%という増税案を了承した。それには演説上手で知られる野田首相の不退転の意欲を示した演説があったようである。それはともかく、とりあえず財政再建に一歩を踏み出したことを私は評価したいと思う。財政再建が進まず、赤字国債乱発が進行した時に待っているのは、格付け会社による国債の格付けの低下と、それに伴う国際長期利息の上昇、そして同時にヘッジファンドの乱入による国際信用の低下となって跳ね返ってきて、国民生活がより窮乏化に追い込まれることは必至であろう。私にはそのように見えるだけに、苦しかった今年の年末が少しだけ明るくなったような気がする。

 マスメディアの多くはこぞって消費税増税論であったと言われる。それを表しているのが今日12月30日の読売新聞朝刊である。その紙面の幾つかの消費税関連記事をその順番にここに掲載する。あからさまであるが、それはそれでよいと私は感じている。

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