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新春第一弾 新しい走法に挑む!

  • 2012/01/03 16:35

 私のように70歳を超えてもなおマラソンを走ろうとする者にとって必須なことは、あらゆる肉体的なハンディを克服するためにもいかに効率的に走るかに尽きよう。私自身もそのことを考えながら走ってきたつもりであるが、それがどの程度に実現されているかはほとんど検証のしようがなかったのである。その私の走り方を簡潔にまとめたのが、10年前にランナーズ(2001年12月号)に書いた記事である。それが1枚目の写真である(拡大すればお読みになれます)。私はこれに忠実に走ってきたつもりであった(でも、そうではなかったらしい)。
 ところが、昨年の9月末、かって一緒にマラソンを走っていた仲間の一人から面白い新聞の切り抜きが届いた。それは9月24日付産経新聞のランニング特集の記事であった。それは1ページ全面を使った特集で3つの主要な記事からなっている。所々大丈夫かなと思わせる記述があるが、全体としてはほぼ納得がいくもので、私が10年前に書いた内容と基本的に大差ないものであった。その記事は見やすいように3分割した写真としてお見せしたい。
 2枚目の写真は最も大きな記事で、日本の長距離のトップ選手18人の調査を基にした主たる主張は、脚特に膝から下のふくらはぎの形・大きさを見ればその人がどのような走りの特徴を持っているかが分かり、ふくらはぎの大きいランナーは効率の悪い、足首と膝を使った走り方をしているというものである。ふくらはぎの下腿三頭筋(ヒラメ筋と腓腹筋)のうち腓腹筋は膝裏を通って大たい骨に結合しており、膝を伸ばした形で力を入れる走り方で特に強く働き、結果として大きくなる。特に踵から着地して後ろに強く蹴る形の走りは、小さな腓腹筋にかかる負担が大きくなってしまい疲れやすく故障の原因になりやすい。大腿裏のハムストリングを使って蹴りだす方が筋サイズが大きいために極めて疲労しにくいという。要するに、ふくらはぎの大きい人は膝関節と足首関節を使って脚で掻くようにして走っているというのである。そして、調査によれば、ハムストリングの方が大腿前面の大腿四頭筋より大きい方が股関節を使って走れているというのである。ハムストリングは股関節で脚を後方にスイングし、蹴りだすときに使われているのである。
 3枚目の写真の記事は、そのための前提として骨盤の前傾が前提であるということである。つまりそのほうが前への脚のスイングが起こりやすいことを指しており、着地はどの記事も真下着地を志し、それによって効率的に地面反力を受けて前進することが出来るとする。このことはよく理解できるが、骨盤の前傾をいかに実現するかについては暗中模索である。
 4枚目の写真の記事は、股関節を使うことの主張で、走っている間中「股関節を使え」と自分に言い聞かせろという以上ではない。確かにそう書くしかないのは、そのことを的確に自分に指導することの難しさとしてよく理解できる。著者はただそのことを言おうとしてか、インターハイでのランナーの走りを見て、「前傾した骨盤がぐいぐいと回り、大きな力が生み出されている」の記述しているが、これはどうであろうか。骨盤をぐいぐいと回すことが正しいことであろうか、あるいは回るものであるかははっきりしないし、私は懐疑的である。
 私の記事も含めてここに載せた4つの記事について詳しくは説明しないが、是非皆さん自身でお読みいただいて判断してほしい。実は私はこの新聞記事を読み、私が10年前に書いた上の記事を読み返し、私の体調管理を長い間してくださっている愛知県小牧市の五体治療院小山田良治院長が、いつも私に言う“足首を使いすぎていますね”との言葉から判断して、次のような自らへの“指導言語”を編み出すことが出来た。その効果は素晴らしいものであったので、以下に箇条書きにしたい。なお、この走りに切り替えてからは、足首を使いすぎているとは言われていない。

①臍(腰)から前に出る。そして例えば右脚を次に出そうとするときには、骨盤の右側を僅かに鋭く前に出し、「その後に脚を振り出す」。しかし、それは振り出すのではなく、その直前の後方への脚のスイングによる腸腰筋の伸張反射の力を得て「力を抜いてあるから勝手に前に出る」のである。つまり、「脚は後出し」で、ちょっと言葉は良くないが「や~さん歩きのような雰囲気の脚の出し方」である。
②前に出る脚は完全に力を抜いている。だから筋の緊張はないはずで、だから「血液はよく流れている」はずである。つまり「脚が遊脚の間を楽しむ」のである。つまり、疲労回復の時間である。
③そして着地の瞬間に力を入れて体を支持し、それに素早く乗り込み、股関節、つまりハムストリングと臀筋たちの力を借りて後方へスイングし、“結果的に蹴りだす”のである。この着地は、力を抜いて着地すればなんと自動的に真下着地を実現できるのである。“結果的に蹴りだす”と書いたのは、決して“蹴る”という意識を持たないことである。それを意識した時には、脚が流れ、足首を使いすぎ、結果としてターンオーバー(脚の切り替え)が遅れるのである。そしてこの一連の動きが次の①につながるのである。

 この感覚を歩くときにも走るときにも実践し、自分のものとするのである。その結果、脚、とりわけふくらはぎの疲労感がなくなり、着地は自然に全面着地、あるいは前足部分での着地となり、足首も使わずその結果スピードが上がる。不思議なことに、この走法で走ると、腕の、特に肘から先の緊張がなくなり力が抜ける。また、下り坂での走行時には自然と腕が下がっていままで以上に上がったスピードに対応できるようになる(逆に言えば、腕の力を抜くことで脚の力も抜けるように感じる)。この走法の練習は上り坂と下り坂で行うのが効果的で(砂地で走るのも効果的と写真2の記事にもある)、その結果、私の場合、いくつかの通常走るコースでのタイムは、実践してすぐにおよそ5%、2カ月ほどで10%短縮されたのには驚いた。さらに驚いたことには、この感覚で脚を出すようにすると、内転筋を酷使しないのである。力を入れて走ろうとすると脚は内転・内旋し易いことの証であろう。
 とにかく、今回私が得た私自身に対する最高の「指導言語」は、“脚は後出しだよ!腰より先に出すんじゃないんだよ!”ということでした。皆さんも一度お考えください。

追記:「指導言語」とは、他人に何かを教えようとするとき、実現すべき行動あるいは動きを導くための言葉。実現すべき行動あるいは動きをそのままの言葉として指導しても相手が理解できるかどうかは分からない。あるいはほとんど指導者の意図が伝わらないことが多い。たとえば、右利きの人にテニスラケットの使い方を教える場合、右手の動きを教えるよりは左手の動きを教えた方が右手の動きがよくなることが多いと言う。その意味で、「指導言語」は非常に重要であるにもかかわらずよく理解されていない。このことは、特に子供に何かを教えるときに大切になると同様に、大人に何かを教えるときにも大切である。このことについては、元・京大教授で現・関大教授の小田伸午氏の教えによるところが大きく、小田氏に深謝したい。

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