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京都・大覚寺 “観月の夕べ”

  • 2012/10/03 12:48

 先月末、関東に住む息子夫妻が休暇をとって京都に遊びにやってきた。インターネットを自在に操るいまの若い人たちは、この時期どこをどう観光すべきかを詳細に調査して旅をするようである。幸い彼らは同じ28日の午前に修学院離宮、そして午後には桂離宮を訪問することを許可されていて、その日の夕刻にはなんと嵯峨野の大覚寺の「観月の夕べ」に出かけるとのことであった。私は関西に来て20年以上になるが、そんなイベントは考えたこともなかったので、滅多にないチャンスだということで私たちもそれに参加させてもらうことになった。
 大覚寺については全く知識のない私は、いつものようにWikipediaに助けを借りた。Wikipediaは次のように言う。
「大覚寺(だいかくじ)は、京都市右京区嵯峨にある、真言宗大覚寺派大本山の寺院。山号を嵯峨山と称する。本尊は不動明王を中心とする五大明王、開基は嵯峨天皇である。嵯峨天皇の離宮を寺に改めた皇室ゆかりの寺院である。また、後宇多法皇がここで院政を行うなど、日本の政治史に深い関わりをもつ寺院である。また、嵯峨天皇に始まるという華道嵯峨御流を今に伝える寺でもある。
(中略)
嵯峨野の北東に位置するこの地には、平安時代初期に在位した嵯峨天皇が離宮を営んでいた。嵯峨天皇の信任を得ていた空海が、離宮内に五大明王を安置する堂を建て、修法を行ったのが起源とされる。嵯峨天皇が崩御してから30数年後の貞観18年(876年)、皇女の正子内親王(淳和天皇皇后)が離宮を寺に改めたのが大覚寺である。淳和天皇の皇子(嵯峨天皇には孫にあたる)恒貞親王(恒寂(ごうじゃく)法親王、仁明天皇の廃太子)を開山(初代住職)とした。」それゆえ大覚寺は皇族が住職を務めてきたいわゆる門跡である。
 さらにいろいろ「観月の夕べ」について調べてみると、それは嵯峨天皇が大沢池に船を浮かべて貴族や有名人と遊んだことが始まりと言われている。DigiStyle京都のウェブサイトによれば、「18時30分より満月法会が行われ、月を望む場所に設けられた祭壇に供物を供え、農作物の豊作と人々の幸せを祈願する。観月の夕べの期間中は、17時より法話やミニコンサートなどさまざまな催し物が行われるほか、大沢池にうかべられた龍頭舟、鷁首舟の船上で、お茶を楽しむこともできる。また、五社明神と宝塔前の広場にはいろいろな夜店も出店し、夜半まで賑わう。平安の王朝絵巻さながらに催される優雅なひとときを楽しんでみては。」(DigiStyle京都 http://www.digistyle-kyoto.com/event/nenjugyoji/post_575.html )
 この「観月の夕べ」イベントはかなりの人気のようで、舟席券を買うのに3時ころに大覚寺に行ったがすでにかなりの行列で、やっと7時台の乗船のチケットを手に入れることができた。それまでの時間私たちは五大堂をお参りし、御影堂で行われていた琴の演奏などを聞き、舟遊びの行われる大沢池の傍に立つ鮮やかな朱色の心経宝塔(1枚目の写真)の前に作られた席に座ってうどん、たこ焼きそしてビールなどをいただきながら、徐々に高く上がっていく美しい満月を眺めていた。1200年程前の皇族・貴族が楽しんだ満月を眺めているかと思うとなかなかの雰囲気であった。
 7時が近づいてきたので、法要と法話が行われた池に突き出た祭壇(2枚目の写真)の傍にある船乗り場に行ったところ既に長蛇の列で、法話による乗船の中断があったこともあり1時間以上待ってやっと乗船できた。舟は20-30人乗りの小舟で、龍頭舟と鷁首舟(3枚目の写真)の2隻が運行されていた。舟遊びはおよそ20分で、その間に抹茶と和菓子(4枚目の写真)が提供され、ちょっと狭い船内ではあったが楽しませてもらった。そして周囲1キロといわれる大沢の池を一周して戻ったのであるが、屋形船の屋根のために意外にも高いところにある満月を見るのはなかなか難しく、屋根がなければ最高だと思われた。
 それはともかく、雲ひとつない空の満月と全く無風で鏡のような水面に映った満月の雰囲気を皆さんにもお楽しみいただければと思う。是非来年に出かけられてはいかがであろうか。私はもし来年訪れるとすれば、舟ではなく、やはり心経宝塔の前の食べ物の席に座ってゆっくりとビールを飲みながら静かに観月を楽しみたいと思う。そんな空の満月と静かな水面に映った満月の両方が映った見事な写真を、今年の写真ではなさそうだが、大覚寺のHPからお借りした(5枚目の写真、http://www.daikakuji.or.jp/event/%E8%A6%B3%E6%9C%88%E3%81%AE%E5%A4%95%E3%81%B9/ )。左の方に私たちが乗ったような、提灯のついた屋形船が映っている。幸い今回は写真のように雲のかかってない、十五夜の満月を私たちは眺めてきたのである。なお、私がカメラを忘れたために、五枚目以外の写真はすべて若い方にスマホで撮っていただいた写真である。いつものようにすべての写真はクリックで拡大できる。

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