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なぜ全くの無駄な死に若者たちや弱者を追い込んでいくのか? プーチン大統領は一体何をしようとしているのか? 彼の主張は我々に理解可能か?

  • 2022/03/09 17:38

ロシア軍はウクライナから出てゆけ、プーチンは引退せよ!

 2022年2月24日に、ロシア軍がウクライナに侵攻したという報道は私を震撼させた(1枚目の写真、2月25日読売新聞から引用)。もちろん、その何か月も前からプーチン大統領が、現在のウクライナの存在はロシアにとって脅威で、ロシアに刃を突き付けている存在であり、それゆえにその存在への攻撃さえ手控えるつもりはないとの強い表現を繰り返していた。当時はウクライナ東部二州のロシア系人民の独立要請に応えてその援助のためと称していつの間にかウクライナ全域への侵略と非軍事化、中立化の要求へと発展していったのである。これは戦争をやる国の常とう手段である。

 確かにソビエト連邦が崩壊し、その弱体化の過程のスキを突かれたロシアが、かってワルシャワ条約機構のメンバーであった多くの同盟国がアメリカをはじめとする西欧諸国による影響下にNATOに加盟する、あるいはそれに近い状態になりつつあったことで、ロシアの喉元に刃を突き刺すようなことになったのである。そのひとつであった大国ウクライナもNATOに加入する可能性まで出てくる状況になっていた。それにプーチンがかみついたのである。

 ロシアがウクライナに侵攻してすでにほぼ2週間である。その矢先に(3月4日)ウクライナに侵攻しているロシア軍はウクライナ南東部のサボリージャ原子力発電所施設を攻撃し、制圧したとされる(読売新聞3月5日朝刊、2枚目の写真)。チェルノブイリ原発事故、そして東日本大地震に伴う大津波による東京電力福島第一原発のメルトダウンという最悪の事故を知る私としては、このウクライナ最大の原発の攻撃を聞いた時には、福島原発事故の時と同様に冷や汗が出てしまった。何故かと言えば、あの時原子炉の冷却が思う通りに進まなければ原子炉は更なる大規模な水素爆発を起こし、さらにはメルトダウンによって生じた大量の放射能物質の拡散は関東平野の広い地域をも汚染し、人々が安全に住むことが難しくなる、つまり首都を放棄しなければならない可能性もあったのである。当時私は関西に住んでいたが、遠くに居ても戦慄を感じざるを得なかったのである。しかし幸いにもまさに紙一重で原子炉の破滅的な大爆発を免れたのである。今回、IAEAはもちろん中国でさえ懸念を表明するほどのロシアの原発攻撃についての報道は真実であると私は信じるが、この出来事は再びプーチン大統領への最大限の不信を倍加することになってしまった。

 しかも、その原発への攻撃からわずか2日しか経っていない3月6日、今度はウクライナ東北部・ハリコフにある国立物理技術研究所を攻撃し破壊したと報じられた。報道によれば、核物質も研究対象であるとされ、油断ならない問題が攻撃によって発生する可能性もあるとされる。なにひとつとってもプーチンを信用する材料ではない。

 以上のようにプーチン大統領を信頼できない理由はいろいろあるが、まだある。いままさに北京冬季パラリンピックが行われているが、それに関連する国連決議まで裏切ったのである。朝日新聞によれば、「国連総会はオリンピックとパラリンピックの期間中に休戦を求める決議を各大会の前年に採択していて、北京大会に向けた決議は、中国やロシアなど173か国が共同提案国になって去年12月に採択されました。今回の決議では、北京オリンピック開幕の7日前にあたる28日から、パラリンピック閉幕の7日後に当たる3月20日までの期間、世界のあらゆる紛争の休戦を呼びかけています」。
 しかし、なんと北京冬季パラリンピック開会式が行われ時には上に記したようにすでにロシアはウクライナに侵攻・攻撃を始めていたのである。そして3枚目、4枚目の写真でもわかるように、開会式での国際パラリンピック委員会(IPC)の会長アンドリュー・パーソンズ氏の強烈な反戦意思の表明には、私も驚かされた(3枚目4枚目の写真、3月5日読売新聞)。その時会長は最後に大声で”PEACE!!!”と叫んだのである。しかし、彼が渾身の反戦意思を表明しているその時、身振り手振りの同時通訳は動いていなかったのである。それほど難しい事態を起こしてしまい、ロシアは世界を、そして盟友であるはずの中国をも裏切ったのである。4枚目の写真を見ればこれまで二度も国連の休戦協定を破っていることが分かる。

 しかし、私たちは冷静でなければならないと思う。悪いのはすべてロシアだとは残念ながら言い切れない。私はキューバ危機のことを頭に浮かべている。1962年10月から11月のことである。当時のケネディ米国大統領がキューバに核ミサイル基地が建設されていることを超高空偵察機のU2で発見するや、ただちにキューバの海上封鎖を強行しソビエト連邦のフルフチョフ第一書記と対峙した。”アメリカ合衆国の裏庭に核ミサイル基地の存在を許さない”という強烈な決意表明であった。いまのウクライナ情勢に瓜二つである。しかし、最終的には両巨頭の手紙のやり取りなどを通じてフルフチョフが折れ、核戦争を回避できた。

 つまり、この場合にはフルフチョフがケネディを見誤り敗北したが、しかし核戦争とは紙一重の瀬戸際であった。また、有名な話で2003年に始まったとされるアメリカとイラクの戦争で大問題が発生した。たしか2011年ころまで続く長期戦であるが、その主たる攻撃の理由はイラクが大量破壊兵器を持っているというCIAによる調査結果の誤りであろう。国連総会でのパウエル国務長官の開戦理由発言は大きな問題となった。後にパウエル氏はそれを最大の誤りと発言することになった。戦争を始めるときには、自国に有利なような間違い、嘘などはしばしば起こることである。今回のロシアのプーチン大統領の発言には私たちが聞いても本当とは思えない、都合よくごまかしていると思えることが少なくないのである。そしてその先には多くの、いや無数の尊い命が無駄にされていることも間違いない。今まさにそのような悲惨なことが行われている。即刻止めていただきたい。ただそう願うばかりである。

 プーチン大統領は核兵器の使用をほのめかしている。かってキューバ危機と言われた時の危機的状況と何が違っているのだろうか? 即刻停戦しかないのだろう。それはロシアやそれを支持する立場の国々はもちろん、その反対側にいるアメリカや西欧諸国も即刻停戦に持ち込むしかない。ウクライナ侵攻を始めたロシアだけではなく、両陣営には途方もなく大きな責任が課せられているのである。

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