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高齢者には肺炎が恐ろしい!

  • 2011/10/12 13:48

 日本人の死因の第4位は肺炎である。また、その95%以上は65歳以上である。この10月8日の新聞広告は高齢者にとって大切な情報を伝えている。そしてその主たる原因菌は肺炎球菌である。したがって、肺炎球菌に対するワクチン注射は最強の予防措置である。
 このワクチンについては、日本ではこれまでは一度ワクチンを接種した後は、その効用を維持するための再接種に対して慎重で、原則的には再接種しないことが普通であった。しかし、アメリカなどでは初回接種時から5年経過すれば再接種に問題なしとして解禁した事情もあり、日本でも最近見直され、日本感染症学会は平成21位年に再接種に関するガイドラインを発表した。それには次のように書かれている。
 「肺炎球菌感染症は頻度が高く、しかも重症化しやすく、65 歳以上の高齢者においては肺炎球菌が肺炎の原因菌の第一位を占めている。さらに近年では、ペニシリンをはじめとする多くの薬剤に耐性を示す多剤耐性肺炎球菌が急増しており、治療困難例も増加している。高齢化社会の到来した今日、その治療だけでなく予防は極めて重要と考えられる。23 価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(ニューモバックス®NP、以下、本ワクチンと略す)による予防効果は薬剤感受性に影響されないため多剤耐性肺炎球菌に対しても有効であることが大きな利点である。本ワクチンの予防効果は5 年以上持続するとされているが、接種により上昇した特異抗体濃度は時間の経過とともに低下し、高齢者や呼吸器、循環器に基礎疾患を有する人では低下しやすい傾向にあることも報告されている。特異抗体濃度の低下は肺炎球菌感染症の重症化リスクの増加につながるおそれがあるため、抗体水準を維持するために再接種が必要となる。
 米国における1970 年代の研究では、14 価の肺炎球菌ワクチンを2 年以内に再接種された成人の注射部位に初回接種時と比べて強い局所反応(Arthus様反応)が発現したことから、1983 年承認当初には米国でも再接種が禁忌とされていた。しかし、その後の試験において、4 年以上の間隔を空けて再接種すれば、初回接種時に比べて副反応の発現率は増加しないことが確認されている。これらの結果を踏まえ、米国では1997 年以降肺炎球菌ワクチンの初回接種から少なくとも5 年が経過していれば再接種が条件付で認められている1)。現在では、承認販売されている38 ヵ国中、日本を除く全ての国で本ワクチンの再接種が行なわれている。また、英国、フランス、ドイツ等ではハイリスク者に対し5~6 年ごとに繰り返し接種することも認められているなど、わが国を除く世界各国では再接種が既に公知のものとなっている。」
 詳しいことはともかく、以上のような経過からわが国でも検討が進められ、平成21年(2009年)にガイドラインが明らかにされた。そして、現在は一度接種しても5年以上経過すれば再接種時の副作用は大きなものではないということで早めに接種することが推奨されるにいたった。
 私はすでに数年前、ある医師から接種しておいた方がよいと言われていたが、同時に再接種は日本では公認されていないとも伝えられていた。ただし、“副作用は再接種から5年経てば心配することはないですからまたおやりになればいいんですよ”とも言われていたが、まだ元気だから何歳ころに接種しようかと考えていたのが本心であった。5年経てば再接種がオープンに行えるとなれば、案外早くこのワクチンの接種を受けておいた方が、より危険な年齢になった時に再接種を受けられ、高い抗体価で肺炎球菌に対抗することが可能になると考えられる。
 知り合いの方の話によれば、確か8千円ほどだったとのことでその程度で肺炎を避けられるのであれば安いものである。私も近いうちにと考えている。なお、小児用のワクチンも開発されていて、多くの自治体では公費補助も行われているはずである。とにかく、写真の新聞広告をクリックして拡大し、きちんとお読みになることをお勧めする。

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