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[完全復元] 「たちあがれ日本」?

  • 2011/09/30 16:47

(この記事のオリジナルは2010年4月12日に書かれたものである)

 4月10日に新党「たちあがれ日本」が結成されたと11日読売新聞が伝えている。憂国の志を持った5人の代議士が結成し、応援団として石原慎太郎東京都知事が加わっている。はたして何をしたいのか、何を言いたいのかが私にはよく分からない。
 新聞報道などでしばしば報じられているように、代表の平沼氏と共同代表の与謝野氏はともに麻布高校の同級生らしいが、考え方は全く正反対のように私には見える。結党の使命は、「打倒民主党」「日本復活」「政界再編」のようで、基本政策は、憲法改正(第9条)、財政再建(消費税上げ)などで郵政民営化はどこかに消えてしまっている。このような方針に対して読売新聞の社説はかなり好意的で、これまでの経緯からも考えられることである。
 これらの政策についても考え方は同じだと思えない人たちが集まって新党を結成したとして、誰がそれに同調できるのであろうか。無謀な新党であることは初めから分かりきったことであると結成に参加した人たちは言う。では、一体なにをしようというのか。それは、「打倒民主党」、この一点にあると考える。渡辺喜美氏が言うように、これは第三極でもなんでもない。民主党批判をする勢力をできるだけ増やすのが目的であり、その意味では、「非自民・反民主」だけのことである。
 この新党結成は、鳩山内閣発足以来何かにつけて批判を繰り返してきたマスメディアのやってきたことと同じことをやろうとしていて、別に新味はない。要するに、民主党が潰れればよいのである。では、なぜ民主党はあれほどの大差で自民党に圧勝したのであったのか?これに答えることなしに新党もなにも国民を欺くだけのことであろう。国民の自民党に対する失望感は、谷垣総裁が必死に何かを持ち出そうとしても持ち出せないほどその根は深く、だから、民主党に失望しても自民党に国民の支持は戻らないのである。自民党にそれが出来ないからと言ってそこを飛び出し、なにもきちんとした詰めをすることなく新党をとにかく作るというのは国民を愚弄している。
 この国を憂いているなどと勝手なことを言うのはやめにしてもらいたい。高い貧困率に表されるこれほどの格差とどんでもない放漫経営をし、若い人たちに未来への希望を失わせるような状況を作ってきたのは一体どの党の仕業だったのであろうか(http://www.unique-runner.com/blog/index.php/view/21 )。“あなたたち若い人たちは国を憂いていないのか!”なんて分かった振りして言ってもらいたくもない! あまりにダメな自民党に飽き飽きして、そして“国を憂いて”国民の多くは民主党政権を選んだのである。その選択が誤りだったかどうかは1年も経たない現在不明だが、その責任の大半は自民党にあるのだ!
 いつまでも素人くささの抜けない民主党政権。しかしこれも、長年にわたって自民党政権を支え続けた国民の失敗のひとつである。あまりに経験不足なのである。アメリカのように政権交代が繰り返し行われてきた国には政権維持のノウハウが双方に蓄積されているが、残念ながら日本にはそれがなかったのである。だから我々も我慢が必要なのではないか。
 口を開けば、自民党も新党もマスメディアも、民主党はばらまき予算で財政が破たんするのは目に見えているという。これまですでに破たんの状態まで持ってきたのは一体誰のせいだったのだろうか。箱モノばかり作り、官僚の天下りのための訳のわからぬ法人などなどで一体今までいくらドブに捨ててきたのか。そんな批判をする資格は自民党などには全くあり得ないのである。私は自分の耳を疑う。最近は、外交の機密を隠し続けた責任もある。
 とにかく、日本という国は本当に出る杭を打つ社会だとつくづく思う。先日も国交省が高速道路料金を変更して、そのお金で高速道路建設を行うと言ったとたんに、“コンクリートから人へ”と言っていたではないか、などとの批判がマスメディアから出ていた。全く高速道路を建設しないなどと一体誰が言っていたのか?この世の中、何十年も何百年も綿々と続いている。だから、あらゆることが“オール・オア・ナッシング”に進むはずもないことは当然であろう。
 そんな批判をする地盤が日本の社会にあり、それがあらゆる意味で新しい時代の到来を阻害する大きな要因になっているとすれば、それは国民の責任でもある。政権が代わればコロッとあらゆるものが変わると国民の多くが考えているのかもしれない。鳩山政権の支持率が当初の70%台後半からあっという間に30%を切ってしまうということは、そのことを、つまりは国民の無責任さを表している可能性がある。だから、訳のわからぬ新党の出現を許すのであろう。
 そうは言っても私は渡辺喜美氏の「みんなの党」の人気は理解できる。国の根幹を握る官僚の在り方を基本的に変えようとしての新党だからである。

追記:本日4月13日の読売新聞朝刊に「たちあがれ『期待しない』76%」との調査結果が小さく掲載されていた。(ここまでがオリジナルの記事である)

追記2:本年2011年1月14日菅第二次改造内閣の内閣府特命担当大臣に「たちあがれ日本」を離党した与謝野馨氏が就任した。経済政策に精通していると言われる与謝野氏の入閣で菅首相は「社会保障・税一体改革」を目指したのだと思われるが、「たちあがれ日本」結成は与謝野氏にとっては一体なんだったのであろうか。(2011年9月30日)

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